(最終更新月: 2023年12月)
✔以下の疑問をお持ちの方へ向けた記事です
「Salesforceにはどのようなオブジェクトが存在するのか?」
「各オブジェクトの特徴と用途を理解したい」
「Salesforceのオブジェクトを効率的に管理する方法は何か?」
✔当記事を読むことで得られる知識
- Salesforceの様々なオブジェクトの種類と特徴
- 各オブジェクトの主な用途と機能
- Salesforceオブジェクトの効率的な管理とカスタマイズ方法
当記事では、標準オブジェクトからカスタムオブジェクトまで、各オブジェクトが担う役割とその使用方法を紹介し、Salesforceのデータ構造とシステム設計についての理解を深めます。
ぜひ最後までご覧ください。
Salesforceの標準オブジェクト一覧
Salesforceのオブジェクト一覧表は以下のとおり。
いちらでは一部のみの紹介です。
実際はオブジェクトマネージャーよりご覧いただくことで、標準オブジェクトの確認が可能です。
オブジェクト名 | API名 | 一般的な用途 |
---|---|---|
取引先 | Account | 顧客や組織の情報管理 |
取引先責任者 | Contact | 個人の連絡先情報管理 |
商談 | Opportunity | 売上機会の追跡と管理 |
リード | Lead | 新規見込み客の追跡 |
ケース | Case | カスタマーサポートの問題やリクエストの追跡 |
キャンペーン | Campaign | マーケティングキャンペーンの管理 |
タスク | Task | 個人またはチームの作業項目 |
イベント | Event | 会議やアポイントメントなどのスケジュール管理 |
製品 | Product2 | 製品のカタログや在庫の管理 |
価格表 | Pricebook2 | 製品の価格情報管理 |
契約 | Contract | 契約書の管理と追跡 |
ユーザー | User | Salesforceのユーザー情報の管理 |
エンゲージメントチャネル種別 | EngagementChannelType | 顧客とのエンゲージメントチャネルの種別管理 |
エンタイトルメント | Entitlement | サービス契約や保証の管理 |
オーケストレーション実行 | FlowOrchestrationInstance | ワークフローのオーケストレーション管理 |
カタログ | ProductCatalog | 製品カタログの管理 |
クイックテキスト | QuickText | 標準化されたメッセージや返信の作成 |
Salesforceオブジェクトの基本
Salesforceオブジェクトについて学ぶことは、Salesforceを利用する上で非常に重要です。
オブジェクトを理解することで、CRMデータの管理、ビジネスプロセスの自動化、顧客関係の最適化に役立ちます。
- Salesforceオブジェクトとは何か
- 標準オブジェクトとカスタムオブジェクトの違い
- オブジェクトの重要性と役割
Salesforceオブジェクトとは何か
Salesforceオブジェクトは、Salesforce内のデータの構造体です。
データベースでいうところの「テーブル」に相当し、データを格納、管理するためのさまざまなフィールドを持っています。
テーブルとは、エクセルなどの表だと考えても良いでしょう。
各行がそれぞれのデータで、各列がフィールド。
例えばユーザーテーブルであれば、名前やメールアドレスなどがフィールド(列)にあり、一ユーザーが一行ごとに保存されているイメージです。
例えば、以下は取引先(Account)オブジェクトのレコードを取得するSOQL(Salesforce Object Query Language)クエリです。
SELECT Name, Phone, Industry FROM Account
取引先というオブジェクト(テーブル)から、それぞれのレコードのName、Phone、Industryを取り出すコードです。
標準オブジェクトとカスタムオブジェクトの違い
Salesforceには「標準オブジェクト」と「カスタムオブジェクト」の2種類が存在します。
- 標準オブジェクト: Salesforceに最初から組み込まれているもの(例: 取引先や商談)
- カスタムオブジェクト: 組織特有のデータやプロセスに適応させるためにユーザーが自作したもの
基本的なデータ管理は標準オブジェクトでも十分な場合が多いですが、特定のビジネスニーズに応じてカスタムオブジェクトを作成し、使用することが推奨されます。
カスタムオブジェクトのAPI名は、「__c」となります。
標準オブジェクトは、「Account」「Contact」など、「__c」はつきません。
オブジェクトマネージャーから確認可能です。
オブジェクトの重要性と役割
オブジェクトはSalesforceの基盤となる構成要素であり、データ管理やアプリケーション構築の中心的な役割を果たします。
これらのオブジェクトを通じて、以下のような膨大なデータが整理・活用されます。
- 顧客情報
- 商談
- サポートケース
オブジェクトはビジネスプロセスの自動化やレポート生成の基礎となります。
例えば、以下は新しい商談(Opportunity)をプログラムで作成するApexコードです。
//商談インスタンスを作成
Opportunity newOpportunity = new Opportunity(Name='New Deal', CloseDate=Date.today().addDays(30), StageName='Prospecting');
//保存
insert newOpportunity;
オブジェクトを適切に理解・管理することで、ビジネスデータを効率的に活用しながら、顧客満足度の向上に繋げることができます。
SF画面上では以下のように新規商談の作成が可能です。
商談タブ > 新規
主要な標準オブジェクトの一覧と概要
Salesforceには多くの標準オブジェクトが用意されており、それぞれが異なるビジネスプロセスに対応しています。
これらの標準オブジェクトを把握することで、Salesforceプラットフォームの潜在能力を最大限に活用可能です。
- 取引先、取引先責任者、リード、商談
- ケース、キャンペーン
- カスタムオブジェクトの作成と利用
取引先、取引先責任者、リード、商談
標準オブジェクトで主要なものは以下のとおり。
- 取引先(Account)オブジェクト: 顧客や組織などの企業情報を保存
- 取引先責任者(Contact): 個々の人物の情報
- リード(Lead): 見込み客情報
- 商談(Opportunity): 販売プロセス中の取引候補を追跡
これらのオブジェクトは、他の多くのオブジェクトと関連し合っています。
また以下のように、コードでレコードの相互関係を視覚化も可能です。
Account myAccount = [SELECT Id, (SELECT LastName FROM Contacts) FROM Account WHERE Name = 'Acme Corporation'];
これらのオブジェクトが相互に関連付けられているため、各種ビジネス関連データの統合的なビューを提供してくれるのです。
ケース、キャンペーン
以下のようなオブジェクトは、マーケティング活動とその成果を追跡するために使用されます。
- ケース(Case)オブジェクト: 顧客からの問い合わせやサポート要求を管理
- キャンペーン(Campaign)オブジェクト: これらは顧客サポートを改善し、マーケティング効果を分析しやすくする
ケースタブ > 新規作成、で新たなケースが作成できます。
以下のようなクエリを使用してケースの情報を取得することができます。
SELECT Subject, Status FROM Case WHERE AccountId = :myAccount.Id
ケースについては、さまざまな作成方法があり、活用することで自動化もできます。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
カスタムオブジェクトの作成と利用
カスタムオブジェクトは、標準オブジェクトではカバーできない独自のデータストレージとビジネスロジックの必要性に対応するために作成されるもの。
Salesforceでは、ユーザーインターフェースから直接カスタムオブジェクトを定義でき、好きなフィールドを設置できます。
オブジェクトマネージャー > 作成 > カスタムオブジェクト
または以下のようにApexでさらに高度なカスタマイズが可能です。
public class MyCustomObjectManager {
// カスタムオブジェクトを作成、操作するためのメソッドを定義
}
カスタムオブジェクトを通じて、企業独自のニーズに応えるアプリケーションの実装が可能になります。
オブジェクトの管理とカスタマイズ
Salesforceで扱うデータの構造と表示方法を最適化するためには、オブジェクトの管理とカスタマイズが必須です。
これらの機能を使用することで、情報の整理、ユーザーの操作性向上、業務プロセスの効率化を図れます。
- オブジェクトフィールドの追加と編集
- オブジェクトのレイアウトとページレイアウト
- オブジェクトの関連リストとレポート
オブジェクトフィールドの追加と編集
オブジェクトフィールドは、データを保存する個々の項目です。
Salesforceでは、標準フィールドのほかにも、独自のフィールドを追加してオブジェクトをカスタマイズできます。
また以下は、カスタムフィールドへデータを保存するApexコード例です。
Account.Account_Number__c = 12345;
update Account;
オブジェクトに新しいフィールドを追加して、データをより詳細に追跡し管理できるのです。
オブジェクトのレイアウトとページレイアウト
ページレイアウトをカスタマイズすることは、ユーザー体験を向上させる重要な手法です。
Salesforceでは、ドラッグ&ドロップなどの視覚的なツールを使用して、フィールドの配置やセクションの編成をおこなえます。
オブジェクトマネージャー > 対象のオブジェクト > ページレイアウト
以下のような設定変更で、対象のフィールドをレイアウトに簡単に組み込めます。
Layout myLayout = [SELECT Id, Name FROM Layout WHERE Name = 'My Custom Layout'];
// レイアウト内のフィールド配置をプログラムによって変更
オブジェクトの関連リストとレポート
Salesforceでは、オブジェクト間の関連づけによってデータを紐づけ、それらの関連リストを通じて関連情報を一覧表示できます。
これらのデータの関係性を活用して、レポートやダッシュボードを作成し、ビジネス上の分析などに使えるのです。
こちらは、取引先と取引先責任者が関連付けられた一覧表。
それぞれのオブジェクトを関連付けることで、一覧として出力できるのです。
オブジェクトとビジネスプロセス
Salesforceオブジェクトは単なるデータ保存機能に留まらず、ビジネスプロセス全体にわたる自動化を支援しています。
こうした機能を活用して、日々の業務をより効率化しましょう。
- ビジネスプロセスの自動化
- ワークフローと承認プロセス
- オブジェクトとダッシュボード
ビジネスプロセスの自動化
ビジネスプロセスの自動化は、ユーザーの手を煩わせる繰り返し作業を減らし、効率的な業務運営を実現します。
Salesforceでは、プロセスビルダーやワークフロールールで、特定のイベントが発生した際に自動的なアクションの実行が可能です。
たとえば、設定 > ケース自動レスポンスルールでは、ケースが作られた際などに自動返信などを設定できます。
ワークフローと承認プロセス
ワークフローと承認プロセスの設定をおこなうことで、ビジネスルールに従った一貫した業務処理を保証できます。
例えば、以下の画面では、商談の割引率が一定の基準を超えた際に上司の承認を必要とするルールの設定が可能です。
オブジェクトとダッシュボード
オブジェクトに格納されたデータは、ダッシュボードを介して視覚化することが可能です。
Salesforceでは、レポートデータをダッシュボードコンポーネントを配置でき、リアルタイムでの業務状況やパフォーマンス指標を一目で把握できます。
オブジェクトのトラブルシューティングとベストプラクティス
Salesforceのオブジェクトとその運用には、問題がつきものです。
これらの問題を特定し解決することで、システムの信頼性とパフォーマンスを維持できます。
- 一般的なオブジェクト関連の問題
- データ整合性とセキュリティ
- パフォーマンスの最適化
一般的なオブジェクト関連の問題
Salesforceオブジェクトを使用するうえで一般的な問題には、以下のようなものがあります。
- アクセス権の不足
- フィールドの検証エラー
- トリガーによる予期せぬ挙動
例えば、以下のように権限セットでアクセス許可を設定して問題を解決することがあります。
データ整合性とセキュリティ
データ整合性とセキュリティの維持は、信頼できるCRMシステムを保つうえで極めて重要です。
Salesforceでは、以下などを設定して、データの正確性と安全性を高められます。
- フィールドレベルのセキュリティ
- 入力規則
- レコードのアクセス許可
以下のような入力規則で、データの整合性を保てます。
パフォーマンスの最適化
Salesforceシステムのパフォーマンスは、ビジネスプロセスの効率に直結しています。
大量のデータや複雑なクエリがパフォーマンスを低下させるのです。
Apexでコードを書いている場合などは、自身のコードを見直してみましょう。
まとめ
当記事では、以下をご説明してきました。
- Salesforceオブジェクトの基本からオブジェクトの管理
- ビジネスプロセスの自動化
- トラブルシューティング
各セクションにおいて初心者向けのポイントや具体的なコード例を示し、Salesforceオブジェクトが持つ可能性とビジネスへのインパクトを明らかにしました。
これらの基本を理解し、ベストプラクティスを取り入れることで、Salesforceの豊富な機能を最大限に活用できるでしょう。
Salesforceを使用する全てのユーザーが、データの管理とビジネスプロセスの改善におけるオブジェクトの力を発揮できるように、定期的な学習と実践を重ねていきましょう。