(最終更新日:2023年6月)
✔以下の疑問をお持ちの方へ向けた記事です
「Google Apps Script(GAS)の基本的な使い方は何だろう?」
「GASの機能を効果的に利用する方法を学びたい」
「GASの具体的な使用例を見て理解したい」
✔この記事を読むことで得られる知識
- GASの基本的な使い方
- GASを活用するためのテクニック
- GASを用いた具体的な使用例
この記事では、GASの基本的な使い方から、スクリプトの書き方やデバッグ方法など、より実践的な内容も含めて紹介します。
ぜひ最後までお読みください。
GASの基本
ここでは、Google Apps Script(以下、GAS)について総合的に学んでいきます。
初めてGASに触れる方でも、当記事を通してその基本から応用までを理解できるでしょう。
- GASとは?
- GASの利点
- GASの最新機能とアップデート情報
GASとは?
GASは、Googleが提供するJavaScriptベースのクラウドスクリプト言語で、Googleの各種サービスを自動化したり連携させたりするためのものです。
GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントなどのG Suite製品だけでなく、GmailやGoogleカレンダーなど、Googleのほぼ全てのサービスに対応しています。
GASの利点
GASの最大の利点は、その便利さと多機能性です。
Googleの製品間でデータを移動させたり、一連の作業を自動化したりすることが可能です。
また、JavaScriptベースなので、Web開発者にとっては非常に親しみやすい言語となっています。
さらに、クラウドベースなので、どこからでもアクセスしてコードを編集したり、実行したりすることが可能です。
GASの最新機能とアップデート情報
GASは定期的にアップデートされ、そのたびに新機能が追加されたり、既存の機能が改善されたりします。
アップデートで期待できることは以下のとおり。
- 新たに追加されたサービスへの対応
- スクリプトのパフォーマンス向上
最新の情報は、Google Developersのウェブサイトや公式ブログから確認可能です。
これらの情報を踏まえて、次の章ではGASの基本について詳しく見ていきましょう。
GASの基本操作
GASの基本的な操作について詳しく見ていきましょう。
- スクリプトエディタの使い方
- 基本的なスクリプト構造
- コメントの書き方
- 変数とデータ型
スクリプトエディタの使い方
スクリプトエディタは、GASのコードを作成、編集、実行するためのインターフェースです。
スクリプトエディタはブラウザベースで、Googleドキュメントやスプレッドシートなどから直接アクセスできます。
エディタの各部分は明確に区分けされており、コードの書き込みエリア、ログの表示エリア、デバッグツールなどが用意されています。
上記のコードは以下の記事でご覧になれます。
基本的なスクリプト構造
GASはJavaScriptベースの言語であるため、基本的なスクリプトの構造はJavaScriptと非常に似ています。
以下のようなものはそのまま使えます。
- 関数の定義
- 制御構文(if、for、whileなど)
- 例外処理
ただし、Googleの各種サービスと連携するための専用のAPIが用意されており、これらを利用することで強力な自動化処理を実現できます。
コメントの書き方
GASにおけるコメントの書き方も、JavaScriptと同じです。
行コメントは「//」を、ブロックコメントは「/*」と「*/」を使用します。
// この行は行コメントです。このコメントはこの行の終わりまで有効です。
/*
これは
ブロックコメント
の例です。
複数行に渡るコメントを書くことができます。
*/
function helloWorld() {
// この関数は「Hello, World!」を表示します。
console.log("Hello, World!");
}
コードの理解を深めるため、また他の人があなたのコードを読む際に理解を助けるために、適切なコメントを書くことは重要です。
変数とデータ型
GASでは変数の宣言に「var」、「let」、「const」を使用します。
JavaScriptの主要なデータ型であるものが利用可能です。
- Number
- String
- Boolean
- Object
- Array
- Null
- Undefined
function processData() {
// 数値型(Number)
var count = 10;
var price = 99.99;
// 文字列型(String)
var name = "John Doe";
var message = "Hello, world!";
// ブール型(Boolean)
var isActive = true;
var isFound = false;
// オブジェクト型(Object)
var person = {
name: "John",
age: 30,
city: "Tokyo"
};
// 配列型(Array)
var fruits = ["apple", "banana", "cherry"];
// Null
var data = null;
// Undefined
var value;
// 変数の利用例
var total = count * price;
var greeting = "Hello, " + name;
Logger.log("Total: " + total);
Logger.log("Greeting: " + greeting);
}
これらを活用して、各種データを適切に管理しましょう。
GASプロジェクトの管理と共有
こちらでは、GASプロジェクトの管理と共有方法について解説します。
プロジェクトの作成・編集・削除や、プロジェクトの共有とアクセス権限についての詳細を見ていきましょう。
- プロジェクトの作成・編集・削除
- プロジェクトの共有とアクセス権限
プロジェクトの作成・編集・削除
GASプロジェクトを作成するには、以下の方法があります。
- Googleドライブから新規スクリプトファイルを作成
- GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントなどの「スクリプトエディタ」メニューから直接作成
スクリプトエディタからプロジェクト名を変更したり、必要ないプロジェクトを削除したりすることも可能です。
claspというライブラリを使用して、VSCode上からプロジェクトの作成も可能です。
プロジェクトの共有とアクセス権限
GASプロジェクトはGoogleドライブ上に保存されるため、Googleドライブの共有機能を利用して他ユーザーと共有できます。
アクセス権限は以下の3種類です。
- 「閲覧のみ」
- 「コメントのみ」
- 「編集可能」
プロジェクトの共有を行う際は、セキュリティを考慮に入れて適切なアクセス権限を設定しましょう。
GASを使った実践例
こちらでは、GASを活用した実践的な利用例について詳しく見ていきます。
Googleの各種サービスとの連携方法を紹介し、具体的なプロジェクトを通じてGASの活用方法を理解するのに役立つ情報を提供します。
- Google Sheetsと連携
- Google Formsと連携
- Google Calendarと連携
- Google Driveとの連携
- Gmailとの連携
Google Sheetsと連携
GASはGoogle Sheetsとの連携が非常に強力で、データ操作や自動化に活用できます。
- データの取得・操作
- シートの自動化
データの取得・操作
GASを用いてスプレッドシートのデータを読み込み、加工し、書き戻すことが可能です。
例えば、スクリプトを使用して特定の列の合計値を計算したり、複数のシート間でデータを移動したりすることができます。
シートの自動化
さらに、GASはスプレッドシートの自動化にも使用できます。
例えば、定期的にデータを更新するスクリプトを作成したり、特定の条件を満たした場合にメール通知を送るスクリプトを作成したりが可能です。
Google Formsと連携
GASはGoogle Formsとも深く連携可能で、アンケートやフィードバックフォームの作成、管理に非常に便利です。
- フォームの送信トリガー
- メール通知の自動化
フォームの送信トリガー
フォームの回答が送信されたときに特定のスクリプトを自動的に実行する「トリガー」を設定できます。
送信された回答に対する即時の処理が可能です。
例えば新しい回答が送信された際に、自動的にメール通知を送るなどが挙げられます。
メール通知の自動化
また、GASを使うと、フォームの回答に基づいて自動的にメールを送信することも可能です。
例えば、イベントの申し込みがあった際に自動的に確認メールを送るなどの利用例があります。
Google Calendarと連携
このセクションでは、Google Apps Scriptを使用してGoogleカレンダーとどのように連携するかをご紹介します。
- イベントの自動登録
- 通知・リマインダーの設定
イベントの自動登録
Google Apps Scriptを使用すれば、自動的にGoogleカレンダーにイベントを登録することが可能です。
たとえばフォームにイベントの詳細を入力し、その内容をスクリプトが解析してカレンダーにイベントを追加するという流れを作ることができます。
これは会議のスケジュール管理や予約システムなどにも利用できます。
通知・リマインダーの設定
またGASを使用すれば、イベントに関する通知やリマインダーも設定できます。
特定の条件を満たすとき、または特定の時間が来たときに自動的に通知を送るといった使い方が可能です。
これにより、重要なイベントを忘れることなく、時間通りに行動することができます。
Google Driveとの連携
Google Apps Scriptを使って、Google Drive上でファイル操作の自動化が可能です。
例えば、一定のルールに基づいてファイルをアップロード、ダウンロード、または共有するといった作業を、スクリプトを通じて自動でおこなえます。
これは特定のレポートを定期的に保存する場合や、特定のユーザーとファイルを共有する場合などに大変役立ちます。
// ファイルをアップロードする関数
function uploadFile() {
var folderId = "フォルダID"; // アップロード先のフォルダのID
var file = DriveApp.getFileById("ファイルID"); // アップロードするファイルのID
var folder = DriveApp.getFolderById(folderId);
folder.createFile(file.getBlob());
}
// ファイルをダウンロードする関数
function downloadFile() {
var fileId = "ダウンロードするファイルのID";
var file = DriveApp.getFileById(fileId);
// ダウンロードしたいファイルの処理を記述する
}
// ファイルを共有する関数
function shareFile() {
var fileId = "共有するファイルのID";
var file = DriveApp.getFileById(fileId);
var email = "共有先のメールアドレス";
file.addEditor(email);
}
// ファイル操作のメイン関数
function main() {
uploadFile(); // ファイルをアップロード
downloadFile(); // ファイルをダウンロード
shareFile(); // ファイルを共有
}
Gmailとの連携
Google Apps Scriptを使ってGmailのメールを管理する方法は、複数あります。
メールの自動送信は、特定の時間や条件に基づいてメールを送るといったタスクを自動化するのに非常に便利です。
また、受信メールの自動整理も可能で、特定の条件を満たすメールを自動的にラベル付けしたり、アーカイブしたり、削除したりも可能。
これらの機能は、大量のメールを扱う場合や、一定のルールに基づいてメールを管理する場合に大変有用です。
GASのセキュリティとプライバシー
こちらでは、Google Apps Scriptのセキュリティとプライバシーについて詳しく説明します。
セキュリティは、GASを使う上でとても大切な概念です。
- Googleアカウントとの連携
- スクリプトの権限設定
- データ保護とプライバシーポリシー
Googleアカウントとの連携
Google Apps Scriptは、Googleアカウントを活用し、ファイルやデータを操作します。
スクリプトを作成したユーザー権限で、Googleサービスにアクセスしているのです。
GASの権限を悪用されると、あなたのファイルが操作されてしまうでしょう。
不要な権限は極力与えないよう、しっかりと設計することが大切です。
スクリプトの権限設定
スクリプトがGoogleのサービスにアクセスするには、適切な権限が必要です。
権限を与えなければスクリプトは、あなたのファイルに触れられません。
権限は、「スクリプトの権限設定」で管理できます。
スクリプトを初めて実行するとき、またはスクリプトが新しいサービスに初めてアクセスするとき、ユーザーはこれらの権限を明示的に承認してください。
ユーザーのデータが適切に保護するため、スクリプトが必要以上にアクセスすることを防ぎましょう。
データ保護とプライバシーポリシー
Google Apps Scriptは、Googleの厳格なデータ保護とプライバシーポリシーに従います。
これには、ユーザーデータの保護、アクセス制御、データの削除などが含まれます。
GASを使用する際は、これらのポリシーを理解し、スクリプトが適切にデータを扱うようにすることが重要です。
GASにおけるAPIの利用
こちらでは、「GASにおけるAPIの利用」についてお伝えしていきます。
「APIの利用」について理解することで、スクリプトをさらに強力で多機能なものにすることができます。
- 外部APIとの連携方法
- APIキーと認証情報の管理
外部APIとの連携方法
Google Apps Scriptは、Googleのサービスだけでなく、外部のAPIとも連携が可能です。
例えばAIサービスである「ChatGPT」を使い、さまざまな応答を試みれます。
手順はこちら。
- 該当のAPIのエンドポイントにGETまたはPOSTリクエストを送信
- レスポンスを解析し、必要なデータを抽出
- このデータを適切なGoogleサービス(この例ではGoogle Sheets)に送信
外部APIとの連携は、GASの可能性を大きく広げる一方で、認証やエラーハンドリングといった新たな課題も生じさせます。
APIキーと認証情報の管理
外部APIを利用する際には、通常APIキーまたは他の形式の認証情報が必要となります。
認証なしでは、誰でもあなたのデータを取得できてしまうからです。
認証情報は機密性が高く、不適切に扱うとセキュリティ上のリスクとなり得ます。
プロジェクトのプロパティを活用し、安全に保管しましょう。
GASのエラー対処とデバッグ
こちらでは、GASの「エラー対処とデバッグ」についてお伝えしていきます。
スクリプトのトラブルシューティングがスムーズになるでしょう。
- よくあるエラー事例
- デバッグ方法
- コンソールへの出力
よくあるエラー事例
GASを使っていると、さまざまなエラーに遭遇します。
TypeError: Cannot call method "getRange" of null
存在しないオブジェクトに対してメソッドを呼び出そうとしたときによく見られるエラーです。
Exception: Service using too much computer time
こちらはスクリプトがGoogleの制限時間を超えたときに表示されるもの。
これらのエラーに対処するには、エラーメッセージを理解し、問題のあるコードを特定し、適切な修正を行うことが必要です。
デバッグ方法
GASには便利なデバッグツールが用意されています。
コードの実行を一時停止させ、各行をステップごとに実行し、変数の値を見ることが可能です。
スクリプトの動作を理解し、エラーの原因を特定するのに役立ちます。
またtry/catchブロックによる方法も、特定のコードセグメントで発生するエラーをキャッチできる、効果的な手法のひとつです。
コンソールへの出力
コンソールへの出力はデバッグの重要な一部です。
Logger.log()
関数を使用すると、スクリプトの実行中にコンソールに情報を出力できます。
これは変数の値を追跡したり、関数が期待通りに動作しているかを確認したりするのに便利です。
エラーメッセージやスタックトレースをログに出力することは、問題の解析と解決に繋がるでしょう。
GASのリソースと学習方法
こちらでは、「GASのリソースと学習方法」についてお伝えしていきます。
GASを上達させるためのリソースと学習方法を理解することで、GASのスキルを磨き、より効率的なスクリプト開発が可能になります。
- 公式ドキュメント
- オンラインチュートリアルとその利用方法
- コミュニティとフォーラム
公式ドキュメント
Google Apps Scriptの公式ドキュメントは、GASの全ての機能とAPIについての詳細な情報を提供しています。
これには、APIリファレンス、チュートリアル、ガイド、そしてよくある質問とその解答が含まれます。
新たに何かを学びたいときや、特定のAPIの詳細を調べたいときに、公式ドキュメントは最初に参照すべきリソースです。
オンラインチュートリアルの利用方法
オンラインには数多くのGASのチュートリアルが存在します。
これらのチュートリアルは、特定のトピックを深く掘り下げたものや、一般的なGASの使用法を紹介するものなど、さまざまな形式と内容で提供されています。
チュートリアルは手順に従いながら学ぶのに適しており、自分でコードを書きながら新しい概念を学ぶのに役立ちます。
まとめ
当記事では、GASについて幅広く解説してきました。
- Google Apps Script(GAS)の概要
- その基本的な使い方
- 実践的な活用例
- 学習リソース
GASの良いところはGoogleアカウントさえあれば、無料で手軽に使えるところ。
ぜひいろいろなプログラムを作りながら、まなんでみてください。
当記事でもすぐに使える有用なアプリ制作をコード・動画付きで解説しています。