(最終更新日:2023年9月)
✔このような方へ向けて書かれた記事となります
「PostgreSQLのcoalesce関数って何?」
「coalesce関数で何ができるのか知りたい」
「coalesce関数の使い方が見てみたい」
✔当記事を通じてお伝えすること
- PostgreSQL coalesce関数の基礎
- coalesce関数の具体的な実装方法
- coalesce関数の実例
当記事では、coalesce関数の基本的な考え方だけでなく、その使い方や応用例まで、具体的な実践から紐解いて説明しています。
ぜひ最後までお読みください。
PostgreSQLとは
PostgreSQLは、世界中で広く使用されているオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムです。
拡張性や信頼性、そしてSQL標準への強い準拠が特徴です。
これにより、PostgreSQLはWebアプリケーションのバックエンドとして、また大規模なデータウェアハウスでの使用にも適しています。
NULL値とは
こちらでは、NULL値の概念について深く掘り下げていきます。
- NULL値とは何か
- NULL値が発生する原因
NULL値とは何か
NULL値は、データベースにおいて情報が不在または不明であることを示す特別なマーカーです。
NULLは空の文字列や0ではなく、文字通り「値がない」ことを表します。
データベースで重要な区別であり、検索や分析の際に考慮が必要です。
NULL値が発生する原因
NULL値はさまざまな理由で発生します。
- データが未知である場合
- データが適用されない場合
- 単にデータが欠落している場合
外部データのインポート時にもNULL値が発生することがあります。
データベース設計段階で、NULLを許可するかどうかを決めることが一般的です。
COALESCE関数の基本
こちらでは、COALESCE関数の基本的な概念と使用方法を紹介します。
- COALESCE関数とは
- 基本構文と使用方法
COALESCE関数とは
COALESCE関数(コーレス、もしくはコアレス)は、指定された引数リスト内で、最初の非NULL値を返すものです。
すべての引数がNULLの場合は、COALESCE関数もNULLを返します。
例として以下のようなテーブルで試してみましょう。
CREATE TABLE employees (
id SERIAL PRIMARY KEY,
first_name VARCHAR(50),
last_name VARCHAR(50),
phone1 VARCHAR(15) NULL,
phone2 VARCHAR(15) NULL
);
INSERT INTO employees (first_name, last_name, phone1, phone2)
VALUES ('Taro', 'Yamada', '080-1234-5678', NULL),
('Hanako', 'Tanaka', NULL, '080-8765-4321'),
('Yuki', 'Suzuki', NULL, NULL);
COALESCE関数を使用して、phone1
がNULLの場合にphone2
の値を取得します。
両方の電話番号がNULLの場合は、”不明”という文字列を返します。
SELECT first_name, last_name, COALESCE(phone1, phone2, '不明') AS primary_phone
FROM employees;
結果は以下のとおりです。
first_name | last_name | primary_phone
------------+-----------+---------------
Taro | Yamada | 080-1234-5678
Hanako | Tanaka | 080-8765-4321
Yuki | Suzuki | 不明
以下はブラウザでSQLが試せる無料サイトです。
学習に活用してみてください。
基本構文と使用方法
COALESCE関数の基本的な構文は次のとおりです。
COALESCE(value1, value2, ..., valueN)
関数は引数リストから左から右へと進み、最初に出会った非NULL値を返します。
例えば以下の結果は、「ITC」です。
COALESCE(NULL, 'ITC', NULL)
すべての引数がNULLの場合は、NULLを返します。
COALESCE関数でデフォルト値を設定
こちらでは、COALESCE関数を用いてNULL値に対するデフォルト値を設定する方法を解説します。
- デフォルト値の設定方法
- NULL値の検出と置換
デフォルト値の設定方法
COALESCE関数は、デフォルト値を設定する際にも利用できます。
具体的には、関数の最後に、デフォルト値を引数として与える方法です。
以下のようにすると、最初の引数がNULLであるため、結果は’Default Value’になります。
COALESCE(NULL, 'デフォルト値')
NULL値の検出と置換
COALESCE関数を使うと、NULL値を効率よく置換できます。
SELECT COALESCE(列名, 'デフォルト値') FROM テーブル名;
このクエリは、指定した列の値がNULLの場合に’デフォルト値’を返します。
COALESCE関数の応用例
こちらでは、COALESCE関数の応用例を紹介します。
- 複数列から値を取得
- 条件付きNULL値の埋め合わせ
複数列から値を取得
COALESCE関数を使用して、複数の列から最初の非NULL値を取得できます。
住所の情報が複数の列に分散して保存されている場合、以下のようにすることで、最初の非NULL住所情報を取得できるのです。
COALESCE(列1, 列2, ..., 'デフォルト住所')
条件付きNULL値の埋め合わせ
COALESCE関数は、CASE文と組み合わせることで、より複雑なNULL値の取り扱いを実現できます。
特定の条件下でのみ、NULL値を置換するといった応用が可能です。
例えば価格が、NULLである場合にだけデフォルト価格を適用する場合、次のようなクエリを書けます。
SELECT COALESCE(CASE WHEN 価格 IS NULL THEN 'デフォルト価格' END, 価格) FROM 商品;
PostgreSQLのCASE文については以下で詳しく解説しています。
ほかのNULL関連関数との比較
こちらでは、ほかのNULL値を操作するための関数とCOALESCE関数との違いについて解説します。
- COALESCEとNVLの違い
- COALESCEとNULLIFの違い
- COALESCEとCASE式の違い
COALESCEとNVLの違い
COALESCEとNVLの主な違いは、以下のとおり。
- NVL:2つの引数しか受け付けない
- COALESCE:任意の数の引数を受け付ける
COALESCE関数はより、柔軟な操作が可能です。
COALESCEとNULLIFの違い
NULLIFは、2つの引数を比較し、等しければNULLを返すもの。
それに対し、COALESCEは引数リストの中で最初の非NULL値を返します。
それぞれの目的が異なるのです。
COALESCEとCASE式の違い
COALESCE関数は、内部的にはCASE式と同じように動作しますが、簡単なNULL値の置換ではCOALESCEの方が好まれます。
なぜならCOALESCE関数の方が、シンタックスが簡潔だからです。
複雑な条件付きの置換では、CASE式を使用することが多いです。
まとめ
当記事では、PostgreSQLのCOALESCE関数とその使用方法について解説しました。
NULL値はデータベース作業で頻繁に遭遇するため、それらを適切に扱うための技術は必須です。
COALESCE関数は、NULL値を効率的に管理し、データの完全性を維持する上で非常に有用なツールです。
これらの知識を活用することで、あなたのデータベース操作はより柔軟かつ効率的になるでしょう。
当記事がPostgreSQLを使用する上での理解の一助となれば幸いです。