(最終更新月:2023年5月)
✔以下の疑問をお持ちの方へ向けた記事です
「SQLのAS句とは何で、どのように使うのだろうか?」
「SQLのAS句の使い方を学びたい」
「SQLのAS句の具体的な使用例を見て理解したい」
✔この記事を読むことで得られる知識
- SQLのAS句の基本的な使い方
- AS句の応用法
- SQLのAS句を用いた具体的な使用例
この記事では、SQLのAS句の基本的な使い方から、その応用法まで、具体的な例を交えて詳細に説明します。
ぜひ最後までお読みください。
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SQLのAS句についての基礎知識
このセクションでは、「AS句」について説明します。
AS句の理解は、SQLクエリをより効率的に書く上で重要です。
- AS句の基本的な概念
- AS句の利用目的とメリット
AS句の基本的な概念
AS句はSQLの一部で、主に列名やテーブル名に別名を与えるために使用するもの。
この別名は一時的なもので、クエリの実行中だけ有効です。
SELECT name AS StudentName FROM users;
「name」カラムが「StudentName」という名前で参照されます。
クエリの読みやすさと理解のしやすさが大幅に向上します。
AS句の利用目的とメリット
AS句の利用は、クエリの結果をよりわかりやすく整形するだけでなく、コードの可読性と維持管理性を向上させます。
とくに複数のテーブルをJOINする際や、長い列名や複雑な計算を含む列を扱う場合には、AS句による列名のエイリアス(別名)が有効です。
また、AS句はSQLクエリの結果セットに表示される列の名前をカスタマイズすることも可能で、これにより結果の分析が容易になります。
カラムに別名を付ける方法
こちらでは、SQLのAS句を使ってカラムに別名を付ける方法について解説します。
カラムに別名を付けることで、可読性があがる利点があるのです。
- 使用するテーブル作り
- 単一のカラムに別名を付ける
- 複数のカラムに別名を付ける
使用するテーブル作り
使用するテーブルを以下のとおり作りましょう。
-- Employeesテーブル作成
CREATE TABLE Employees (
employee_id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50),
department VARCHAR(50),
salary DECIMAL(10, 2),
hire_date DATE
);
-- レコード登録
INSERT INTO Employees (employee_id, name, department, salary, hire_date)
VALUES (1, 'John Doe', 'HR', 50000.00, '2022-01-01'),
(2, 'Jane Smith', 'IT', 60000.00, '2022-02-01'),
(3, 'Michael Johnson', 'Sales', 55000.00, '2022-03-01'),
(4, 'Emily Brown', 'Marketing', 52000.00, '2022-04-01'),
(5, 'David Taylor', 'Finance', 58000.00, '2022-05-01');
単一のカラムに別名を付ける
ここでは、一つのカラムに対して別名を付ける方法を実例を交えて解説します。
実際にSQLクエリを作成し、結果を確認してみましょう。
- 実行クエリ
- 実行結果
実行クエリ
以下に、employeesテーブルのemployee_idカラムを”ID”という別名で取得するクエリを示します。
SELECT employee_id AS ID FROM employees;
実行結果
上記クエリを実行すると、employee_idカラムが”ID”という名前で表示されます。
これがAS句による別名の付け方です。
ID |
---|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
複数のカラムに別名を付ける
次に、複数のカラムに別名を付ける方法を見てみましょう。
同様に、SQLクエリとその結果を示します。
- 実行クエリ
- 実行結果
実行クエリ
次のクエリでは、employeesテーブルのemployee_idとnameカラムをそれぞれ”ID”、”Employee Name”という別名で取得します。
SELECT employee_id AS ID, name AS 'Employee Name' FROM employees;
実行結果
このクエリを実行すると、employee_idとnameカラムがそれぞれ”ID”、”Employee Name”という名前で表示されます。
これが複数のカラムに対するAS句の使用方法です。
ID | Employee Name |
---|---|
1 | John Doe |
2 | Jane Smith |
3 | Michael Johnson |
4 | Emily Brown |
5 | David Taylor |
テーブルに別名を付ける方法
次に、SQLのAS句を使用してテーブルに別名を付ける方法について説明します。
テーブルに別名をつけることで、特に複数のテーブルを結合する際にクエリをシンプルに保てます。
- 単一のテーブルに別名を付ける
- 複数のテーブルに別名を付ける
単一のテーブルに別名を付ける
ここでは、単一のテーブルに別名を付ける方法を見てみましょう。
具体的なクエリとその結果を通じて理解を深めます。
- 実行クエリ
- 実行結果
実行クエリ
次に示すクエリでは、”employees”テーブルに”e”という別名を付けています。
SELECT e.employee_id, e.name FROM employees AS e;
実行結果
上記のクエリを実行すると、”employees”テーブルが”e”として参照され、クエリがシンプルになります。
このようにテーブルに別名を付けることで、クエリの可読性を向上させられるのです。
複数のテーブルに別名を付ける
次に、複数のテーブルに別名を付ける場合を見てみましょう。
具体的なクエリとその結果を通じて説明します。
- 実行クエリ
- 実行結果
実行クエリ
このクエリでは、”employees”テーブルに”e”という別名、”departments”テーブルに”d”という別名を付けています。
SELECT e.name, d.department_name FROM employees AS e INNER JOIN departments AS d ON e.department_id = d.id;
実行結果
上記のクエリを実行すると、各テーブルがそれぞれ指定した別名で参照されます。
これにより、テーブルを参照するたびにフルネームを書く必要がなくなり、大規模なクエリでも管理が容易になります。
SQLのAS句の規則と制約
AS句を効果的に使用するためには、いくつかの規則と制約を理解することが重要です。
これにより、AS句を適切に使用し、潜在的なエラーや問題を避けられます。
- WHERE句での別名の利用制約
- ORDER BY句とGROUP BY句での別名の使用
- 別名に括弧は使えるか?
- 別名を付けるためのルール
WHERE句での別名の利用制約
WHERE句では、AS句で定義した別名を直接使用できません。
AS句で設定した別名は一部の場合でしか使用できないのです。
これは、SQLがクエリを処理する順序に由来しています。
ORDER BY句とGROUP BY句での別名の使用
一方、ORDER BY句やGROUP BY句では、AS句で設定した別名を使用することが可能です。
これにより、これらの句を使用してクエリを整理する際にも、AS句が有効に働くことがわかります。
ORDER BYについてはこちら。
GROUP BYについてはこちら。
別名に括弧は使えるか?
SQLでは、一部のデータベースシステムでは別名に括弧の使用が許されていますが、一部では許されていません。
可能な限り、括弧や特殊文字を避け、以下のどれかを使用することを推奨します。
- アルファベット
- 数字
- アンダースコア
別名を付けるためのルール
基本的に、別名は一意である必要があり、他のテーブル名やカラム名と衝突しないようにする必要があります。
また、スペースや特殊文字を含む別名を使用する場合は、データベースシステムによってはクオーテーションマークで囲む必要がある場合があります。
ORDER BY句やGROUP BY句との併用例
AS句は他のSQL句と組み合わせて使用することができ、特にORDER BY句やGROUP BY句と組み合わせた場合にその威力を発揮します。
具体的な使用例を以下に示します。
- 使用するテーブル
- ORDER BY句との併用例
- GROUP BY句との併用例
使用するテーブル
以下のテーブルを使います。
-- Employeesテーブル作成
CREATE TABLE Employees (
employee_id INT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(50),
department VARCHAR(50),
salary DECIMAL(10, 2),
hire_date DATE
);
-- レコード登録
INSERT INTO Employees (employee_id, name, department, salary, hire_date)
VALUES (1, 'John Doe', 'HR', 5000.00, '2022-01-01'),
(2, 'Jane Smith', 'HR', 6000.00, '2022-02-01'),
(3, 'Michael Johnson', 'IT', 5500.00, '2022-03-01'),
(4, 'Emily Brown', 'IT', 5200.00, '2022-04-01'),
(5, 'David Taylor', 'Finance', 5800.00, '2022-05-01');
-- nameとsalary列を持つテーブル
SELECT name, salary AS monthly_income FROM Employees ORDER BY monthly_income;
-- departmentと平均salary列を持つテーブル
SELECT department, AVG(salary) AS average_salary FROM Employees GROUP BY department;
ORDER BY句との併用例
ORDER BY句とAS句を一緒に使うことで、ソートの指定がより簡単になります。
- 実行クエリ
- 実行結果
実行クエリ
例として、以下のクエリを考えてみましょう。
ここでは、salary
カラムにmonthly_income
という別名を付け、その別名を使ってソートをおこないます。
SELECT name, salary AS monthly_income FROM employees ORDER BY monthly_income;
実行結果
このクエリを実行すると、salary
カラムがmonthly_income
として表示され、月給の低い順に従業員のリストが表示されます。
GROUP BY句との併用例
GROUP BY句とAS句を組み合わせることで、グループ化した結果をより理解しやすくすることができます。
- 実行クエリ
- 実行結果
実行クエリ
以下に、AS句とGROUP BY句を組み合わせたクエリの例を示します。
このクエリでは、department
カラムに基づいて従業員をグループ化し、各部門の平均給与を計算します。
その結果をaverage_salary
という別名で表示します。
SELECT department, AVG(salary) AS average_salary FROM employees GROUP BY department;
実行結果
このクエリを実行すると、各部門の平均給与がaverage_salary
という名前のカラムに表示されます。
このように、AS句を使用すると、集計結果の表示名を自由に設定することができ、結果の理解を助けます。
SQLのAS句の省略について
AS句はSQL文の一部として重要ですが、一部のシチュエーションではAS句を省略することが可能です。
この章では、AS句の省略について詳しく説明します。
- AS句の省略の例
- AS句の省略時の注意点
AS句の省略の例
AS句は、カラム名やテーブル名の後に新しい名前を指定するために使用します。
しかし、これはオプションであり、必須ではありません。
そのため、以下のようにAS句を省略した形式でクエリを書くことも可能です。
SELECT column1 column_alias, FROM table1 table_alias;
このクエリは、以下のクエリと同じ結果を返します。
SELECT column1 AS column_alias, FROM table1 AS table_alias;
AS句の省略時の注意点
AS句を省略する際にはいくつかの注意点があります。
まず、省略できるのはカラム名とテーブル名のみで、計算式や関数の後に別名をつける場合、ASキーワードは必須です。
また、別名が複数の単語から成る場合や特殊な文字を含む場合には、ASキーワードを省略することはできません。
まとめ
SQLのAS句は、データベースのカラムやテーブルに別名を付けるためのツールです。
AS句を使うことで、クエリの結果をより読みやすく、理解しやすくすることができます。
また、AS句は他のSQLの構成要素、特にORDER BY句やGROUP BY句と組み合わせると、さらに強力なツールになるでしょう。