(最終更新月:2023年3月)
✔このような方へ向けて書かれた記事となります
「OSI参照モデルって何だろうか?」
「OSI参照モデルのレイヤーについて詳しく知りたい」
「OSI参照モデルとTCP/IPとの違いを教えてほしい」
✔当記事を通じてお伝えすること
- OSI参照モデルとは?
- OS参照モデルのレイヤーについて
- OSI参照モデルとTCP/IPとの違い
当記事では、OSI参照モデルについて詳しく解説していきながら、TCP/IPとの違いをご覧いただきます。
ぜひ最後までご覧ください。
✔スキマ時間で聞いて、見て学びたい方はこちら
OSI参照モデルについての基礎知識
OSI参照モデルについての基礎知識について解説していきます。
OSI参照モデルは、ネットワークの基礎となる概念で、ネットワークのトラブルシューティングや設計に必要不可欠な知識です。
- OSI参照モデルとは?
- そもそもプロトコルって何だろうか?
- OSI参照モデルで言われるレイヤーをわかりやすく説明
- OSI参照モデルが使われる理由について
OSI参照モデルとは?
OSI参照モデルとは、コンピューターネットワークにおける通信プロトコルを標準化された7つの階層に分類したものです。
このモデルでは、異なるネットワーク機器やプロトコルが相互に通信するための基盤の提供が目的。
各階層は、それぞれ異なる機能を担当しており、上位の階層は下位の階層を利用して通信をおこないます。
例えば、第6層(レイヤー)のアプリケーション層は、ユーザーが利用するアプリケーションと通信するためのプロトコルを定義していて、下位の階層であるトランスポート層やネットワーク層を利用します。
OSI参照モデルは、異なるプロトコルや機器が相互に通信するための共通の基盤を提供することで、ネットワークの相互運用性を高めることができます。
そもそもプロトコルって何だろうか?
プロトコルとは、コンピュータネットワークにおいて、通信のルールや手順のこと。
通信の安定性やセキュリティを確保するために必要不可欠で、インターネットをはじめとするネットワークの基盤となっているものです。
OSI参照モデルにおいて例を挙げると、アプリケーション層では、以下のプロトコルが使われます。
- HTTP
- SMTP
- FTP
トランスポート層ではTCPやUDPが使われているのです。
プロトコルはネットワークにおいて通信を行うためのルールや手順であり、ネットワークの安定性やセキュリティを確保するために必要不可欠なものといえます。
OSI参照モデルで言われるレイヤーをわかりやすく説明
OSI参照モデルは、コンピュータネットワークにおける通信プロトコルの設計において、共通の基準となる7つのレイヤーに分類されます。
それぞれのレイヤーは、特定の機能を担当しており、上位レイヤーから下位レイヤーへとデータが伝送されます。
- 物理層
- データリンク層
- ネットワーク層
- トランスポート層
- セッション層
- プレゼンテーション層
- アプリケーション層
これらのレイヤーは、それぞれが独立して機能し、異なるプロトコルを組み合わせて使用できます。
障害が発生した場合にも、問題のあるレイヤーだけを修正することができるため、ネットワークの保守や拡張が容易になるのです。
OSI参照モデルが使われる理由について
OSI参照モデルが使われる理由として、異なる機器が相互に通信するための共通言語を提供していることが挙げられます。
このモデルを7つの階層に分けて、その機能を特定します。
例えば、物理層はデータをビットに変換し、伝送媒体を介して送信するなどです。
OSI参照モデルによって、異なる機器の相互運用性を確保することができているのです。
OSI参照モデルの7階層
OSI参照モデルの7階層について解説していきます。
7階層を理解すれば、ネットワークの構成やトラブルシューティングに役立つでしょう。
- 第7層のアプリケーション層とは?
- 第6層のプレゼンテーション層とは?
- 第5層のセッション層とは?
- 第4層のトランスポート層とは?
- 第3層のネットワーク層とは?
- 第2層のデータリンク層とは?
- 第1層の物理層とは?
第7層のアプリケーション層とは?
第7層のアプリケーション層は、ユーザーが直接操作するアプリケーションに関する通信を扱うレイヤーです。
この層は、ユーザーが使用するアプリケーションが正しく動作するために必要なプロトコルを提供します。
以下のプロトコルが例としてあげられます。
- ウェブページを閲覧するHTTPプロトコル
- メールを送信するSMTPプロトコル
ユーザーが使用するアプリケーションにより、プロトコルが異なるのも特徴です。
アプリケーション層は、ユーザーが使用するアプリケーションが正しく動作するために必要なプロトコルを提供することで、ユーザーにとって重要な役割を果たしています。
第6層のプレゼンテーション層とは?
プレゼンテーション層は、データの表現方法を定義し、データの変換や圧縮、暗号化などの処理をおこなうレイヤーになります。
具体的には、データ形式を変換し、異なるシステム間でのデータのやり取りを可能にしたり、データの圧縮によって、通信速度を向上させたりする層です。
データの暗号化によって、セキュリティの確保も可能。
例えば、インターネット上での通信において、プレゼンテーション層は、HTTPSプロトコルによって、データの暗号化を行っています。
プレゼンテーション層は、上位のアプリケーション層と下位のセッション層との間で、データの変換や処理を行うことで、システム間の相互運用性を高める重要な役割を果たしているのです。
第5層のセッション層とは?
第5層のセッション層は、通信を確立し、管理するためのプロトコルを提供するレイヤーです。
アプリケーション間のセッションを確立し、維持するための手順を定義します。
例えば、WebブラウザがWebサーバーに接続する場合、セッション層は、ブラウザとサーバー間の通信を確立し、維持するための手順を提供します。
これにより、データの転送がスムーズにおこなわれ、通信エラーが発生した場合にも再接続が可能になるのです。
セッション層は、トランスポート層プロトコルとも密接に関連し、ネットワークの信頼性と効率性を向上させるために重要な役割を果たしています。
第4層のトランスポート層とは?
第4層であるトランスポート層は、ネットワーク上でデータの転送のプロトコルを提供するレイヤー。
データの信頼性や完全性を確保するための機能が提供されます。
具体的には、以下のとおり。
- データのセグメンテーション
- 再送要求
- エラー検出・修正
トランスポート層は、アプリケーション層から受け取ったデータを、ネットワーク層で転送可能な形式に変換し、ネットワーク層に渡します。また、ネットワーク層から受け取ったデータを、アプリケーション層で利用可能な形式に変換して、アプリケーション層に渡します。
トランスポート層は、アプリケーション層とネットワーク層の橋渡しを行う重要なレイヤーであり、ネットワーク上でのデータ転送に欠かせない存在です。
第3層のネットワーク層とは?
第3層であるネットワーク層は、OSI参照モデルにおいて、データ転送のルーティングや転送方法を決定するレイヤーです。
IPアドレスを使用して通信先のネットワークを特定し、パケットを転送するための最適な経路選択をするのはもちろん、パケットの分割や再構築もおこないます。
インターネット通信を例に挙げると、ネットワーク層はIPアドレスを使用して、送信元から送信先までの最適な経路を選択し、パケットを転送しているのです。
ネットワーク層は、データの転送において必要不可欠な層であり、IPアドレスを使用して通信先のネットワークを特定し、最適な経路を選択することで、効率的な通信を実現します。
第2層のデータリンク層とは?
第2層のデータリンク層は、OSI参照モデルにおいて、物理層とネットワーク層の間に位置し、物理的な接続を提供し、以下の機能を提供します。
- データのフレーム化
- 誤り検出
- 再送要求
データリンク層は、MACアドレスを使用して通信をおこなう特徴があります。
MACアドレスとは、ネットワーク上のデバイスを一意に識別するための符号のことです。
例を挙げると、イーサネットというデータリンク層で動作するプロトコルは、MACアドレスを使用して通信をおこないます。
データリンク層は、ネットワーク上のデータの転送を効率的におこなうために重要な役割を果たしています。
データリンク層が正常に動作しないと、通信が遅延したり、データが破損したりする可能性があるのです。
第1層の物理層とは?
第1層である物理層は、OSI参照モデルの中で最も基本的な層であり、ネットワーク上でデータを転送するための物理的な手段を提供します。
データをビットストリームとして送信するための物理的な接続を定義し、データを以下の形式で伝送しています。
- 電気信号
- 光信号
- 無線信号
データの伝送速度、伝送媒体、信号の形式、伝送距離、伝送方法などを定義しているのです。
例えば、イーサネットは、物理層で使用される伝送媒体として、ツイストペアケーブルを使用します。
また、物理層で使用される信号の形式には、アナログ信号とデジタル信号があります。
- アナログ信号:音声やビデオなどのアナログ情報を伝送
- デジタル信号:コンピューターなどのデジタル情報を伝送
物理層は、ネットワーク上でデータを転送するための基本的な手段を提供するため、ネットワークの構築において非常に重要な役割を果たしているといえるでしょう。
OSI参照モデルとTCP/IPの違いを徹底解説
OSI参照モデルとTCP/IPの違いを徹底解説について解説していきます。
TCP/IPは実際のインターネット通信に使用されるプロトコルであり、OSI参照モデルは理論的なモデルであるため、両者の違いを理解することは、ネットワークの基礎を理解する上で重要です。
- TCP/IPとは?
- OSI参照モデルとTCP/IPとの違いは?
- OSI参照モデルとTCP/IPそれぞれの層の関係性について
TCP/IPとは?
TCP/IPは、インターネットにおける通信プロトコルの一つであり、Transmission Control Protocol (TCP)とInternet Protocol (IP)の略称です。
TCPは、データの信頼性を確保するために使用され、IPは、データの送信先を特定するために使用されます。
例えば、Webブラウザを使用してウェブサイトにアクセスする場合、以下のようにTCP/IPが使われています。
- TCP:ウェブサイトからのデータを分割
- IP:データをインターネット上で送信先に届ける
TCP/IPは、インターネット上でのデータ通信に必要不可欠なプロトコルであり、現代の情報通信において重要な役割を果たしています。
OSI参照モデルとTCP/IPとの違いは?
OSI参照モデルとTCP/IPは、両方ともネットワーク通信のためのプロトコルスタックですが、異なるアプローチを取っています。
- OSI参照モデル:7つのレイヤーそれぞれで、特定の機能を担当
- TCP/IP:4つのレイヤーで、よりシンプルなアプローチ
TCP/IPは、インターネットの基盤として広く使用されているのに対して、OSI参照モデルは、標準化されたプロトコルの開発を促進するために作成されたので、実際にはあまり使用されていません。
OSI参照モデルとTCP/IPは、両方ともネットワーク通信のためのプロトコルスタックですが、異なるアプローチを取っていることを理解しておきましょう。
OSI参照モデルとTCP/IPそれぞれの層の関係性について
OSI参照モデルとTCP/IPは、層数は異なりますが、それぞれ対応し、相互に関連しています。
OSI参照モデル | TCP/IP |
---|---|
ネットワーク層 | ネットワーク層 |
トランスポート層 | トランスポート層 |
アプリケーション層 プレゼンテーション層 セッション層 | アプリケーション層 |
TCP/IPはOSI参照モデルよりも実用的なモデルであり、実際のネットワーク通信において広く使用されているため、数が異なるのです。
OSI参照モデルの各レイヤーに対応したハードウェア
OSI参照モデルの各レイヤーに対応したハードウェアについて解説していきます。
各レイヤーに対応したハードウェアを理解することで、より効率的なネットワーク構築が可能になるでしょう。
- アプリケーション層で使えるハードウェアについて
- プレゼンテーション層で使えるハードウェアについて
- セッション層で使えるハードウェアについて
- トランスポート層で使えるハードウェアについて
- ネットワーク層で使えるハードウェアについて
- データリンク層で使えるハードウェアについて
- 物理層で使えるハードウェアについて
アプリケーション層で使えるハードウェア
アプリケーション層では、さまざまな機器がすべて使えるハードウェアといえます。
なぜならアプリケーション層では、実際にユーザーが触るアプリケーションの通信を担当しているから。
ただしハードウェアの種類により、使用するプロトコルは異なります。
- パソコンやスマートフォン、タブレット:TCP/IP
- ウェブカメラやマイク:UDPプロトコル
- スピーカーやイヤホン:TCPプロトコル
ハードウェアを通じて使うアプリケーションにより、使用するプロトコルが異なるのです。
適切なハードウェアを選択することで、よりスムーズな通信が可能になるでしょう。
プレゼンテーション層で使えるハードウェアについて
プレゼンテーション層は、データの圧縮、暗号化、復号化、エンコード、デコードなどの処理をおこなうため、主なハードウェアや機器は、以下のようなものです。
- コーデック(Codec):音声や映像などのデータを圧縮・伸長するための装置(ビデオ会議システムで使用されるH.264コーデックなど)
- 暗号化装置(Encryption Device):データを暗号化するための装置(SSL/TLS暗号化装置など)
- データ変換装置(Data Conversion Device):データの形式を変換するための装置(ASCIIコードからEBCDICコードへの変換装置など)
- プロトコル変換装置(Protocol Conversion Device):異なるプロトコル間で通信するための装置(TCP/IPからSNAへの変換装置など)
- プリンター(Printer):データを印刷するための装置
セッション層で使えるハードウェアについて
セッション層では、高速で信頼性の高い通信を実現するために使用される以下のような機器が使用されます。
- ネットワークインターフェースカード(NIC):TCP / IPプロトコルスタックを実装
- 専用ハードウェア:セッション層プロトコルを処理する
通信の開始と終了を管理するために、ネットワークセッションを確立するものが必要です。
セッション層で使用されるハードウェアは、通信の開始と終了を管理するためのプロトコルに関連しており、高速で信頼性の高い通信を実現するために使用されます。
トランスポート層で使えるハードウェアについて
トランスポート層では、以下のハードウェア・機器があります。
通信のエンドツーエンドの制御を担当し、データのセグメンテーション、再構築、エラー検出、フロー制御などをおこなうために利用するのです。
- ネットワークインターフェースカード(NIC):パケットの分割や再構築
- ルーター:パケットの転送やフロー制御
- スイッチ:パケットの転送やフロー制御
ネットワーク層で使えるハードウェアについて
ネットワーク層で使えるハードウェアは以下の2つが主なものです。
- ルーター:IPアドレスを使用して、パケットを送信元から宛先へルーティング
- スイッチ:MACアドレスを使用して、パケットを送信元から宛先へ転送
これらのデバイスは、異なるネットワーク間や同じネットワーク内での通信を可能にし、ネットワークの効率性を高める役割を果たしています。
データリンク層で使えるハードウェアについて
データリンク層で使えるハードウェアは以下のとおり。
- イーサネットカード:ネットワークインターフェースカードで、10Mbpsから100Gbpsまでの速度で通信が可能
- トークンリングカード:トークンパッシング方式を採用しており、ネットワーク上のデバイスがトークンを受け取る
- Wi-Fiアダプタ:無線LAN
物理層で送信されたビット列をフレームという単位にまとめ、送信元と宛先を識別するためのMACアドレスを付加する役割をもつデータリンク層で、通信を支える重要な役割を果たしています。
物理層で使えるハードウェアについて
物理層は、ネットワークの最下層であり、データをビットストリームに変換し、物理媒体を介して送信する役割を担っています。この層で使用されるハードウェアは以下のとおり。
- ネットワークケーブル:ルータを物理媒体を介して送信する
- ハブ:複数のネットワークデバイスを接続する
- リピーター:信号を増幅する
- ネットワークカード:コンピューターをネットワークに接続する
物理層で使用されるハードウェアは、ネットワークの基盤を構成する重要な要素です。
これらのハードウェアを適切に選択し、設定することで、高速で信頼性の高いネットワークを構築することができます。
まとめ:OSI参照モデルを理解すればネットワークトラブルに対応しやすくなる
当記事の内容をまとめます。
- OSI参照モデルには7つのレイヤーがある
- TCP/IPはより実用的なモデル
- 各レイヤーには適した機器が存在する
OSI参照モデルは、コンピューターネットワークの通信プロトコルを7つの階層に分類したものです。
各階層は、それぞれ異なる役割を持ち、上位層から下位層に向かってデータを処理していきます。
このモデルにより、異なるネットワーク機器やプロトコルが相互に通信できるようになり、ネットワークの構築やトラブルシューティングが容易になったのです。