(最終更新月:2023年3月)
✔このような方へ向けて書かれた記事となります
「dhcpについて知りたい」
「dhcpの仕組みについて知りたい」
「dhcpとは何か」
✔当記事を通じてお伝えすること
- DHCPとは?
- DHCPのメリットや利用方法
- DHCPの設定方法
当記事では、DHCPの基本についてはもちろん、初心者にもわかりやすくネットワークの基礎知識やIPアドレスの仕組みについて詳しく解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。
DHCPを理解するための基礎知識
DHCPを理解するための基礎知識について解説していきます。
DHCPの基礎知識を理解することで、IPアドレスの自動割り当てやネットワークの効率的な管理が可能になります。
- 静的IPとは?
- 動的IPとは?
- DHCPとは?
静的IPアドレスとは?
静的IPとは、ネットワーク上のデバイスに、固定で割り当てられたIPアドレスのこと。
ネットワーク上で常に同じIPアドレスを持つことができるため、以下のようなメリットがあります。
- 管理が簡単
- ポートフォワーディングやリモートアクセスなどの設定が楽
例えばオフィス内のプリンターに静的IPを割り当てることで、従業員が常に同じIPアドレスでプリンターにアクセスできるようになります。
Webサーバーに静的IPを割り当てれば、外部からのアクセスが容易になるのもひとつのメリットです。
静的IPは、IPアドレスの変更が必要な場合には手動で変更する必要があるものの、利点も多いIPアドレスの割り当て方といえるでしょう。
動的IPアドレスとは?
動的IPとは、ネットワーク上で自動的に割り当てられるIPアドレスのこと。
ネットワーク接続の都度、自動で割り当てられ、手動でIPアドレスを設定する必要がありません。
ネットワーク全体で見れば、IPアドレスの再利用が可能になることで、IPアドレスの枯渇を防げるのもメリットといえます。
例えばオフィス内で使っているPCであれば、ネットワークに接続されているPCにだけIPアドレスが付与されるのです。
ネットワーク構築の際には、動的IPの導入は必ず検討すべきだといえます。
DHCPとは?
DHCPとは、ネットワーク上のデバイス(機器)に動的IPアドレスを割り当てるためのプロトコルです。
DHCPのおかげで以下のことが可能になっています。
- 手動でIPアドレスを設定する手間が省ける
- IPアドレスの重複や不足を防げる
動的IPアドレスがネットワーク構築に重要なのであれば、DHCPの活用は必須であるといえるでしょう。
DHCPの主な役割・メリット3選
DHCPの主な役割・メリット3選について解説していきます。
DHCPの重要性を理解すれば、IPアドレスの割り当てやネットワークの効率的な管理に役立てられるからです。
- IPアドレスの自動割り当て
- IPアドレスの一元管理
- IPアドレスの再利用
- ネットワークの柔軟性
IPアドレスの自動割り当て
DHCPの役割として、IPアドレスを自動で割り当てることが挙げられます。
IPアドレスを割り当てることで、以下のようなメリットがあります。
- IPアドレスの枯渇を防ぐ
- 手動での設定がいらなくなる
- 外部から端末のIPアドレスが特定しづらい
IPアドレスの自動割り当ては、DHCPが主としている役割のひとつといえるでしょう。
IPアドレスの一元管理
DHCPサーバーを利用すれば、IPアドレスの一元管理が可能になります。
IPアドレスを一元管理することで、自動で割り当てられる以外にも、アドレスの重複や欠損を防止できるメリットもあります。
ネットワーク内のIPアドレスを一元管理し、起こりうるトラブルリスクを減らせるのです。
IPアドレスの再利用
IPアドレスの再利用も、DHCPの主な役割です。
これがなぜメリットかというと、ネットワーク内のデバイス数より、用意すべきIPアドレスの数が少なくてすむから。
例えばある企業で、従業員が使う100台のPCやデバイスがあったとしても、外出などで入れ替わるようであれば、100より少ないIPアドレスを入れ替えながら、割り当てられるようになります。
DHCPを導入することで、IPアドレスの再利用が可能になり、管理の手間が軽減されます。
ネットワークの柔軟性
DHCPは、ネットワークの柔軟性を高めるためにも、必要不可欠な役割を果たしています。
なぜならIPアドレスの変更や追加時には、手動設定よりも簡単かつ迅速に対応でき、ネットワーク管理が容易になるから。
例えば企業内のネットワークにおいて、入れ替わりが激しいPCへIPアドレスを手動で割り当てるのは手間や時間がかかります。
DHCPを利用すれば、新しいデバイスに自動的にIPアドレスを割り当てることができ、迅速かつ正確に対応できるのです。
DHCPは、ネットワークの柔軟性を高めるために必要不可欠な役割を果たしており、とくに企業内のネットワークでは、DHCPの導入が推奨されています。
DHCPを利用するデメリット3選
DHCPを利用するデメリット3選について解説していきます。
デメリットを理解すれば、DHCPを導入する際に、そのリスクを理解し、適切な対策を講じることができるようになるでしょう。
- 新たなセキュリティリスク
- ネットワークの遅延
- IPアドレスの競合
新たなセキュリティリスク
DHCPを利用することで、そのサーバーに保存されているデバイスのMacアドレスやホスト名などを傍受されてしまう可能性があります。
その理由は、ネットワーク接続時には必ず、各デバイスがDHCPサーバーへ自身の情報を送るのがわかっているから。
対策として考えられるのは以下の方法があります。
- DHCPサーバーにアクセス制御リストを使用する(ACL)
- DHCPサーバーと機器の通信をSSL/TLSで暗号化する
- DHCPサーバーの更新を定期的におこなう
- DHCPサーバーのログを監視する
正しい対策をしなければ、悪意のある第三者は取得した情報をもとに、ネットワーク上の機器に対して攻撃を仕掛けることができてしまいます。
ネットワークの遅延
DHCPを利用するデメリットとして、ネットワークの遅延が挙げられます。
各機器にIPアドレスを割り当てる過程で、ネットワーク上のトラフィックが増加することが考えられるからです。
例えば大規模な企業ネットワークで、数100台のデバイスがネットワークに接続すると、一斉にリクエストが送信される、サーバーはIPアドレスを受け取ろうとします。
数が多ければ多いほど、トラフィック数が増加し、ネットワークの遅延が発生する可能性が高くなってしまうのです。
DHCPを利用する際は、サーバーの負荷を軽減するために、適切な設定やネットワークの最適化が必要です。
IPアドレスの競合
DHCPを利用するデメリットのひとつとして、IPアドレスの競合が起こることが挙げられます。
なぜなら自動でIPアドレスを割り当てる過程で、誤って同じIPアドレスを複数のデバイスに割り当ててしまうことがあるからです。
同ネットワーク内に同じIPアドレスが存在すると、デバイス同士が通信できなくなるなどの問題が発生します。
IPアドレスの競合を避けるために、DHCPサーバーの設定を適切におこなって、IPアドレスの重複を防止してください。
DHCPの仕組み
DHCPの仕組みについて解説していきます。
DHCPの仕組みを解説すれば、ネットワーク構築やトラブルシューティングに役立つ知識が得られるでしょう。
- DHCPクライアントのネットワーク接続
- DHCPサーバーが自動的に割り当てるもの
- DHCPがIPアドレスの重複を避けるためにおこなうこと
DHCPクライアントがネットワーク接続時におこなうこと
DHCPクライアントがネットワークに接続すると、DHCPサーバーへリクエストを送ります。
DHCPクライアントとは、DHCPサーバーからIPアドレスなどを取得するデバイスのこと。
結果として、DHCPサーバから必要な情報を取得できるのです。
自動的にIPアドレスを取得することで、手動で設定する手間が省けます。
DHCPの仕組みとしてまず起こるのは、ネットワークに接続したデバイスから、サーバーへのリクエスト送信です。
DHCPサーバーが自動的に割り当てるもの
DHCPは、リクエストのあったデバイスに対して、IPアドレスを自動で割り当てていきます。
各デバイスには、以下を割り当てます。
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNSサーバーの設定
IPアドレスを含めた情報を割り当てることで、、各デバイスは正しく通信できるようになるのです。
DHCPがIPアドレスの重複を避けるためにおこなうこと
DHCPはIPアドレスの重複を避けるために、以下のことを管理しています。
- IPアドレスプール:割り当て可能なIPアドレスを把握
- IPアドレスのリース期間:リース期間のおえたIPアドレスはプールに戻る
- IPアドレスの重複チェック:割り当てる際に二重チェックをおこなう
IPアドレスが重複すると、通信が混乱し、ネットワーク全体の信頼性が低下します。
DHCPは、IPアドレスの重複を避けるために、割り当てるIPアドレスを事前に管理し、割り当て済みのIPアドレスを使わないようにしているのです。
DHCPを利用する5つの手順
DHCPを利用する5つの手順について解説していきます。
DHCPを利用する手順がわかれば、DHCPを正しく設定し、ネットワーク内のデバイスがスムーズに接続できるようになるでしょう。
- DHCPサーバーを設定する
- DHCPクライアントを設定する
- DHCPリクエストを送信する
- DHCPサーバーからIPアドレスを受信・設定する
- IPアドレスを設定する
DHCPサーバーを設定する
DHCPを利用するには、まずDHCPサーバーを設定する必要があります。
なぜならサーバーがDHCPの根幹を支えているからです。
以下がサーバーの設定に必要な項目です。
- DHCPサーバーソフトウェアをインストール
- DHCPスコープ(IPアドレスの範囲や数)
- DHCPリース期間
- ゲートウェイのIPアドレス
- DNSサーバのIPアドレス
以上の手順でDHCPサーバを設定できます。
DHCPクライアントを設定する
サーバーの次はクライアントです。
各デバイスでの設定をおこないましょう。
- ネットワーク接続のプロパティを開く
- IPアドレスの自動取得を有効ににする
- DHCPサーバーのIPアドレスを指定する
- DNSサーバーのIPアドレスを指定する
- WINSサーバーのIPアドレスを指定する
WINSサーバーとは、Windows Serverを使用している場合などに設定が必要。
クライアントの設定をおこない、IPアドレスの自動割り当てに対応させてください。
DHCPリクエストを送信する
DHCPの設定が終わったら、クライアント(各デバイス)DHCPリクエストを送信しましょう。
DHCPリクエスト(DHCP Request Message)をおこなうことで以下の情報が得られます。
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
DHCPでIPアドレスが割り当てられるために、必ずDHCPリクエストを送信しましょう。
DHCPサーバーからIPアドレスを受信・設定する
DHCPクライアントは、リクエストに対してサーバーからIPアドレスを受信します。
DHCPサーバーがリクエストを受け、利用可能なIPアドレスを検索し、デバイスに割り当ててくれるのです。
割り当てた後、DHCP Acknowledgement Messageとして、クライアントへ情報を送信します。
DHCPにおけるセキュリティリスクとその対策
DHCPにおけるセキュリティリスクとその対策について解説していきます。DHCPには、
DHCPはネットワークで重要な役割を果たしているため、適切なセキュリティ対策を講じてください。
- DHCPスプーフィング攻撃とその対策
- DHCPリースの不正利用とその対策
- DHCPサーバーへの不正アクセスとその対策
- DHCPサーバーへのDDoS攻撃とその対策
- DHCPサーバーの構成の不備とその対策
DHCPスプーフィング攻撃とその対策
DHCPスプーフィング攻撃は、以下のような手順でネットワーク通信を傍受する攻撃のこと。
- 攻撃者が偽のDHCPサーバーを立ち上げる
- DHCPサーバーとして、クライアントからのリクエストを受け取る
- 偽のIPアドレスやDNSサーバーの情報を提供する
これにより、機密情報の漏洩や不正アクセスなどの被害が発生する可能性があるのです。
例えばある企業で、社内ネットワークにおいてDHCPスプーフィング攻撃が発生し、社員のパスワードや機密情報が漏洩するという被害が発生したこともあります。
対策として考えられるのは、MACアドレスの検証やDHCPサーバーの監視をおこなうことです。
企業や組織は、セキュリティ対策の一環として、DHCPスプーフィング攻撃に対する対策をおこなうことが重要だといえるでしょう。
DHCPリースの不正利用とその対策
DHCPリースの不正利用とは、サーバーから割り当てられたIPアドレスを不正に使用すること。
ネットワーク内で不正がおこなわれるだけでなく、DHCPサーバーに対する攻撃により、サーバーがダウンすることもあります。
DHCPリースの不正利用への対策としては、DHCPサーバーのセキュリティ設定の強化や、DHCPスヌーピング機能の有効化などが挙げられます。
不正アクセスを検知するための監視システムの導入も検討しつつ、DHCPリースの不正利用によるセキュリティリスクを低減させる必要があります。
DHCPサーバーへの不正アクセスとその対策
DHCPサーバーに不正アクセスがあると、ネットワーク上のデバイスすべてに、不正なIPアドレスが割り当てられる可能性があります。
IPアドレス割り当ての頭脳であるDHCPサーバーが乗っ取られてしまうことになるからです。
結果として、ネットワーク通信が混乱し、悪意のある攻撃者による情報漏洩や改ざんのリスクが高まってしまいます。
対策としては、DHCPサーバーに対するアクセス制限や、セキュリティソフトウェアの導入などが有効でしょう。
定期的なセキュリティチェックも怠らず、早期に不正アクセスを検知することが重要です。
DHCPサーバーへのDDoS攻撃とその対策
DDoS攻撃は、大量の不正なトラフィックを送信することで、サーバーを過負荷状態に陥らせる攻撃手法のこと。
DHCPサーバーへの攻撃は、ネットワークに接続されているデバイス全体に影響を与えるため、深刻な問題となってしまうでしょう。
可能性としては以下のようなことが起こりえます。
- クライアントがIPアドレスを取得できず、ネットワークに接続できない
- DHCPサーバーがダウン
- ネットワークの拡張ができない
DHCPサーバーへのDDoS攻撃に対する対策としては、ファイアウォールやIPSを導入することが有効です。
余裕があれば、DHCPサーバーの冗長化や、攻撃を検知するシステムの導入も検討すべきといえるでしょう。
適切な対策を講じることで、DHCPサーバーへの攻撃によるネットワークへの影響を最小限に抑えることができるのです。
DHCPサーバーの構成の不備とその対策
DHCPサーバーの構成に不備があると、不正なIPアドレスが割り当てられる可能性があります。
結果として、ネットワーク内のデバイスが攻撃者によって制御されてしまうのです。
対策としては、DHCPサーバーの構成を適切におこなって、不正なIPアドレスの割り当てを防止すること。
DHCPサーバーのログを監視しつつ、不正なIPアドレスの割り当てを早期に検知するよう心がけましょう。
まとめ:DHCPは、IPアドレスを自動で割り当てる役割を担う
当記事の内容をまとめます。
- DHCPとは、IPアドレスを自動で割り当てるプロトコル
- DHCPを活用することで、IPアドレスの枯渇が防げる
- DHCPは重要なので、適切なセキュリティ対策を講じる必要がある
DHCPは、ネットワーク構築のうえで欠かせない存在です。
各デバイスにIPアドレスを割り当てて、円滑なネットワーク環境を支えています。
DHCPの仕組みを理解して、ネットワークのセキュリティ性を高めましょう。