(最終更新日:2023年7月)
✔このような方へ向けて書かれた記事となります
「PythonでXMLをどう扱ったらいいかわからない」と悩む方
「PythonでXMLを操作する方法を知りたい」
「PythonでXML操作の実例が見てみたい」
✔当記事を通じてお伝えすること
- Pythonを用いたXMLの基本的な取り扱い方法
- PythonでXMLを操作する詳しい手順とその応用例
- PythonでXMLを操作する具体的な例示
当記事では、PythonでXMLを操作する基本知識から応用例まで、さまざまな観点から詳しく解説します。
具体的なコード例を交えながら、Pythonを用いたXMLの活用方法を掘り下げていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
PythonでXMLを扱うための前提知識
こちらでは、PythonとXMLの関連性についてお伝えしていきます。
- XMLとは?
- PythonとXMLの関連性
XMLとは?
XML(Extensible Markup Language)とは、データを保存したり、インターネット上で送受信したりするために広く使われているマークアップ言語です。
SGML (Standard Generalized Markup Language) のサブセットとして設計され、タグを使用してデータの各部分をラベル付けします。
ユニバーサルな形式を提供することで、データ構造を人間と機械の両方が理解できるのです。
<book>
<title>Harry Potter and the Sorcerer's Stone</title>
<author>J.K. Rowling</author>
<year>1997</year>
</book>
ただしXML自体は、データをどのように扱うべきかや、それが何を意味するのかについては何も教えてくれません。
各アプリケーションがどのように扱うかは、そのアプリケーション次第なのです。
PythonとXMLの関連性
PythonとXMLの関連性は、主にデータの解析と操作に関わるものです。
Pythonはその豊富なライブラリと簡易な構文のおかげで、さまざまなデータ形式を扱うのに非常に適しています。
その中にはXMLも含まれており、PythonはXMLデータを解析し、操作するための機能を提供しています。
例えばPythonには、xml.etree.ElementTree
やxml.dom.minidom
などの組み込みライブラリが存在します。
これらにより、XMLデータを解析したり、新たにXMLデータを生成したりが可能です。
import xml.etree.ElementTree as ET
xml_data = """
<root>
<element1 attribute="value1">Text1</element1>
<element2 attribute="value2">Text2</element2>
<element3 attribute="value3">Text3</element3>
</root>
"""
root = ET.fromstring(xml_data)
for elem in root:
print(f"要素: {elem.tag}, 属性: {elem.attrib}, テキスト: {elem.text}")
"""出力結果
要素: element1, 属性: {'attribute': 'value1'}, テキスト: Text1
要素: element2, 属性: {'attribute': 'value2'}, テキスト: Text2
要素: element3, 属性: {'attribute': 'value3'}, テキスト: Text3
"""
またXMLは、Web APIから返されるデータの形式として頻繁に使用されています。
このため、Pythonを使ってこれらのAPIを利用する場合、XMLデータをパース(解析)して内容を抽出し、必要に応じてデータを操作できなければなりません。
import xml.etree.ElementTree as ET
# APIから返されたXMLデータ(仮のデータ)
xml_data = '''
<response>
<status>200</status>
<message>成功</message>
<data>
<user>
<name>アリス</name>
<age>25</age>
</user>
<user>
<name>ボブ</name>
<age>30</age>
</user>
</data>
</response>
'''
# XMLデータをパースしてElementTreeオブジェクトを作成
root = ET.fromstring(xml_data)
# 必要な要素の値を取得して表示
status = root.find('status').text
message = root.find('message').text
users = root.findall('data/user')
print(f"ステータス: {status}")
print(f"メッセージ: {message}")
print("ユーザー:")
for user in users:
name = user.find('name').text
age = user.find('age').text
print(f" 名前: {name}, 年齢: {age}")
""" 出力結果
ステータス: 200
メッセージ: 成功
ユーザー:
名前: アリス, 年齢: 25
名前: ボブ, 年齢: 30
"""
PythonとXMLを組み合わせることで、Webサービスからのデータ収集や、設定ファイルの生成・解析、また大量の文書データの扱いなど、多岐に渡るタスクを効率的におこなえるのです。
XMLの基本
こちらでは、XMLの基本構造と要素についてお伝えしていきます。
- XMLの木構造と要素
- サンプルXMLの紹介
XMLの木構造と要素
XMLの構造は、タグと要素で構成される木構造です。
ルート要素が一番上にあり、その下に子要素が配置されます。
各要素は開始タグと終了タグで囲まれ、属性やテキストを含めるのです。
この構造は、情報を階層的かつ整理された形で表現するのに適しています。
サンプルXMLの紹介
以下は、XMLのサンプルです。
<persons>
<person name="John Doe" age="30">
<address city="New York" zip="10001"/>
</person>
<person name="Jane Doe" age="28">
<address city="Los Angeles" zip="90001"/>
</person>
</persons>
このXMLでは、persons
がルート要素で、その下に複数のperson
要素があります。
person
要素はname
とage
属性を持ち、さらに子要素としてaddress
を持つのが読み取れるでしょう。
PythonでXMLを解析する
こちらでは、PythonでXMLを解析する方法について詳しくお伝えします。
- XMLの解析入門
- XMLファイルの解析
- XMLデータの直接解析
- プルAPIを利用した非ブロックパース
XMLの解析入門
PythonでXMLを解析するには、xmlモジュールを使用します。
これはPythonの標準ライブラリに含まれているため、追加のインストールは不要です。
xml
モジュールにはElementTree
というサブモジュールが含まれており、これを使用してXMLの解析をおこないます。
ElementTree
は、XMLデータを木構造として扱い、要素の抽出や操作が可能です。
XMLファイルの解析
XMLファイルからデータを読み込む場合、ElementTree
のparse
関数を使用します。
これにより、XMLファイルを木構造として解析し、要素にアクセスできるのです。
import xml.etree.ElementTree as ET
tree = ET.parse('sample.xml')
root = tree.getroot()
for person in root.findall('person'):
name = person.getattribute('name')
age = person.getattribute('age')
print(name, age)
上記のコードは、sample.xml
というXMLファイルを解析し、person
要素のname
およびage
属性を出力します。
XMLデータの直接解析
XMLデータが文字列として与えられた場合、ElementTree
のfromstring
関数を使用して解析します。
import xml.etree.ElementTree as ET
xml_data = """<persons>
<person name="John Doe" age="30">
<address city="New York" zip="10001"/>
</person>
</persons>"""
root = ET.fromstring(xml_data)
for person in root.findall('person'):
name = person.get('name')
age = person.get('age')
print(name, age)
プルAPIを利用した非ブロックパース
大きなXMLファイルを効率的に解析するために、プル型パーサーを利用できます。
これには、xml.etree.ElementTreeのiterparse関数を利用しましょう。
XMLファイル全体をメモリにロードするのではなく、要素を逐次処理してメモリ使用量を抑えています。
import xml.etree.ElementTree as ET
for event, elem in ET.iterparse('large_file.xml', events=('start', 'end')):
if event == 'start':
if elem.tag == 'person':
# 処理
elem.clear() # メモリの解放
XMLファイルの操作方法
こちらでは、XMLファイルの操作方法を見ていきます。
XMLファイルを扱うのであれば、必須のスキルです。
- PythonでのXML文書の構築方法
- XML要素の検索手法
- XMLファイルの編集と書き換え
- 名前空間付きXMLの解析スキル
PythonでのXML文書の構築方法
Pythonでは、ElementTree
モジュールを使用して新しいXML文書を作成できます。
手順はこちらです。
Element
オブジェクトを作成する- それを文書のルート要素とする
SubElement
関数を使用して、子要素を追加する
例を見てみましょう。
import xml.etree.ElementTree as ET
# ルート要素を作成
root = ET.Element('library')
# 子要素を追加
book1 = ET.SubElement(root, 'book')
book1.set('id', '1')
book1.text = 'The Great Gatsby'
book2 = ET.SubElement(root, 'book')
book2.set('id', '2')
book2.text = 'Moby-Dick'
# XML文書に書き出し
tree = ET.ElementTree(root)
tree.write('library.xml')
新しいXML文書library.xml
を作成し、その中に2つのbook
要素を追加しています。
XML要素の検索手法
Pythonでは、ElementTree
を使用して、特定の要素や属性を検索できます。
例として、findall
メソッドを使用して、特定のタグを持つ要素を全て検索してみましょう。
import xml.etree.ElementTree as ET
xml = """<data>
<items>
<item id="0001">Item 1</item>
<item id="0002">Item 2</item>
</items>
</data>"""
root = ET.fromstring(xml)
# 'item'タグを持つ要素を検索
for item in root.findall(".//item"):
print(item.text)
XMLデータからitem
タグを持つ要素を検索し、そのテキスト内容を出力します。
XMLファイルの編集と書き換え
XML要素の属性やテキストを変更したり、新しい要素を追加したりも可能です。
編集した内容をファイルに書き出すには、ElementTreeのwriteメソッドを使用します。
import xml.etree.ElementTree as ET
tree = ET.parse('sample.xml')
root = tree.getroot()
# 属性の変更
for item in root.findall('.//item'):
item.set('id', 'new_id')
# 新しい要素の追加
new_item = ET.SubElement(root.find('.//items'), 'item')
new_item.set('id', '0003')
new_item.text = 'Item 3'
# ファイルに書き出し
tree.write('sample_modified.xml')
うえのコードでは以下の処理がおこなわれています。
sample.xml
ファイルを読み込むitem
タグのid
属性を変更しする- 新しい
item
要素を追加する - 結果を新しいファイルに保存する
名前空間付きXMLの解析スキル
PythonのElementTreeモジュールで、名前空間を扱えます。
名前空間とは、XML文書内でタグの一意性を保持するために使用されるもの。
名前空間を持つXMLの例を見てみましょう。
<root xmlns:book="http://example.com/book">
<book:title>The Great Gatsby</book:title>
<book:author>F. Scott Fitzgerald</book:author>
</root>
このXMLでは、book
というプレフィックスが名前空間として定義されています。
名前空間を持つXMLを解析する際は、ElementTreeモジュールのfind
、findall
、およびfindtext
メソッドを使用しましょう。
import xml.etree.ElementTree as ET
xml = """<root xmlns:book="http://example.com/book">
<book:title>The Great Gatsby</book:title>
<book:author>F. Scott Fitzgerald</book:author>
</root>"""
# XMLを解析
root = ET.fromstring(xml)
# 名前空間
namespace = {'book': 'http://example.com/book'}
# 名前空間を指定して要素を検索
title = root.find('book:title', namespace)
print(title.text)
名前空間を辞書で定義し、find
メソッドに渡すと、名前空間があるXML要素を検索できます。
XPathとその利用方法
こちらでは、XPathの基本とPythonでのXPathの活用方法についてお伝えします。
- XPathの基本
- PythonにおけるXPathの活用例
- Pythonで使用できるXPath構文の解説
XPathの基本
XPathは、XML文書内の要素や属性に対してクエリをおこなうための言語です。
この技術を使用することで、特定の条件に合致する要素を効率的に抽出できます。
XPathはツリー構造に対して柔軟なクエリをサポートし、以下から選択可能です。
- 単一の要素
- 属性
- 要素・属性のグループ
例えば、以下のXPath式は、すべてのauthor
要素を選択します。
//author
PythonにおけるXPathの活用例
Pythonのxml.etree.ElementTree
モジュールでは、XPath式を使用してXML文書からデータを抽出できます。
以下はPythonでXPathを使用して、XMLデータから要素を抽出する基本的な例です。
import xml.etree.ElementTree as ET
xml = """
<catalog>
<book id="bk101">
<author>Gambardella, Matthew</author>
<title>XML Developer's Guide</title>
</book>
<book id="bk102">
<author>Ralls, Kim</author>
<title>Midnight Rain</title>
</book>
</catalog>
"""
# XMLを解析
root = ET.fromstring(xml)
# XPathを使用してauthor要素を抽出
for author in root.findall(".//author"):
print(author.text)
XPath式.//author
を使用して、XML文書内のすべてのauthor
要素を検索しています。
Pythonで使用できるXPath構文の解説
XPathには多くの構文があります。以下はPythonで使用できる一般的なXPath構文の例です。
*
: すべての要素をマッチさせる.
: 現在の要素を選択する//
: 文書内のあらゆる位置にある要素を選択する[@attrib]
: 特定の属性を持つ要素を選択する
これらのXPath構文を組み合わせることで、非常に複雑なクエリを作成できます。
PythonでのXML読み取り
こちらでは、PythonでXMLを読み取る方法について詳しく説明します。
- 特定要素名のデータ取得方法
- 配列を用いたデータ取得
特定要素名のデータ取得方法
XML文書から、特定の要素名に一致するデータを取得する方法について見ていきましょう。
XMLデータを解析し、検索や変更のためのオブジェクトを提供する、ElementTreeモジュールを利用します。
以下は簡単な例です。
import xml.etree.ElementTree as ET
tree = ET.parse('sample.xml')
root = tree.getroot()
for child in root:
if child.tag == 'targetElement':
print(child.text)
‘sample.xml’というXMLファイルをパースし、すべての子要素を走査します。
要素のタグ名が’targetElement’に一致する場合、その要素のテキスト内容を出力するのです。
配列を用いたデータ取得
XMLの各要素は、配列としてのアクセスも可能です。
XMLのツリー構造を、リストとして扱えます。
XML文書の最初の要素にアクセスし、そのテキストを出力しましょう。
import xml.etree.ElementTree as ET
tree = ET.parse('sample.xml')
root = tree.getroot()
print(root[0].text)
‘sample.xml’の最初の要素のテキスト内容を出力。
Pythonの配列のインデックスは0から始まるため、’root[0]’は最初の要素を参照します。
Python XML関連の関数とオブジェクト
この章では、PythonでXMLを操作するための関数とオブジェクトについて解説します。
- Pythonで利用できるXML関連の関数
- 重要なXMLオブジェクトの紹介
Pythonで利用できるXML関連の関数
Pythonのxml.etree.ElementTree
モジュールは、XMLの解析、変更、作成を支援するための多くの関数を提供しています。
例えば、ET.parse()
関数はXMLファイルをパースし、その結果をET.ElementTree
オブジェクトとして返すもの。
またET.Element()
関数は新たなXML要素を生成し、ET.SubElement()
関数は既存のXML要素に新しい子要素を追加します。
import xml.etree.ElementTree as ET
# XMLファイルをパースしてElementTreeオブジェクトを作成
tree = ET.parse('example.xml')
root = tree.getroot()
# 新たなXML要素を生成
new_element = ET.Element('new_element')
new_element.text = 'New Element Text'
# 既存のXML要素に新しい子要素を追加
existing_element = root.find('existing_element')
sub_element = ET.SubElement(existing_element, 'sub_element')
sub_element.text = 'Sub Element Text'
# パースされたXMLを出力
tree.write('output.xml')
重要なXMLオブジェクトの紹介
XMLを扱うにあたっての重要なオブジェクトをご紹介します。
ET.ElementTree
:XMLの各要素をツリー構造として保持する、XML文書全体を表すET.Element
:XMLの要素を表すオブジェクトで、属性や子要素へのアクセスを提供ET.QName
:名前空間付きのXML要素名を表すET.TreeBuilder
:XMLの構築ET.XMLParser
:パースを支援
これらのオブジェクトと関数を使って、PythonでXMLを効率的に操作することが可能です。
以下に例を示します。
import xml.etree.ElementTree as ET
# Create a new XML document
root = ET.Element("root")
tree = ET.ElementTree(root)
# Add a new child element
child = ET.SubElement(root, "child")
# Save the XML document
tree.write("output.xml")
新しいXML文書を作成し、その中に”root”と”child”という要素を追加。
その結果を”output.xml”というファイルに書き出しています。
例外処理について
以下のとおり、PythonでXMLを操作する際の例外についてまとめました。
例外名 | 説明 | 対応策 |
---|---|---|
xml.etree.ElementTree.ParseError | XMLのパース中にエラーが発生した場合の例外 | XMLの構文を確認し、正しい形式のXMLを使用する |
xml.etree.ElementTree.ElementTreeError | ElementTree関連のエラーの基底クラス | 具体的なエラーメッセージを確認し、問題の原因を特定する |
xml.etree.ElementTree.ElementPathSyntaxError | XPath式の構文エラーが発生した場合の例外 | XPath式の構文を確認し、正しい形式のXPathを使用する |
xml.etree.ElementTree.ElementNotFoundError | 要素が見つからない場合の例外 | 要素が存在することを確認し、正しい要素名を指定する |
xml.etree.ElementTree.XMLSyntaxError | XMLの構文エラーが発生した場合の例外 | XMLの構文を確認し、正しい形式のXMLを使用する |
xml.etree.ElementTree.XMLParserError | XMLパーサーによるエラーが発生した場合の例外 | XMLの構文を確認し、正しい形式のXMLを使用する |
IOError | XMLファイルの読み込みまたは書き込み時のエラー | ファイルの存在やパスの正確性を確認し、適切なファイルアクセス権を持つ |
UnicodeError | XMLデータのエンコーディングに関連するエラー | 正しいエンコーディングを指定し、XMLデータを適切に処理する |
これらの例外は、XMLのパースや要素の操作中に発生する可能性があります。
以下に例外処理の一例を示します。
import xml.etree.ElementTree as ET
try:
tree = ET.parse('sample.xml')
except ET.ParseError:
print("An error occurred while parsing the XML file.")
try-exceptブロックを使用して構文エラーを処理しています。’sample.xml’のパース中にET.ParseError
が発生した場合、エラーメッセージを出力するものです。
まとめ
当記事でお伝えしてきたことは以下のとおり。
- ElementTreeモジュールの使い方
- XMLファイルを読み込み、解析し、XML要素を検索・編集する方法
- 新しいXML文書を作成する方法
- 名前空間の扱い方
- XPathの利用方法
- 一般的な例外とその対応策
これらの知識を基に、Pythonを使ってXMLデータを自由自在に操作できるようになっていれば幸いです。
XMLはWebサービスやデータ交換フォーマットとして広く使われているため、これらのスキルはWeb開発やデータ分析の領域で役立つでしょう。
これからも、PythonとXMLを使った開発の学習を深めてください。